アンケートでの質疑応答(ぼうさいこくたい2020)
2020年10月3日にオンラインで行われたぼうさいこくたい2020に参加された皆様、視聴された皆様、ありがとうございました。ワークショップの参加者からアンケートの中で以下の質問がありましたので、お答えいたします。
質問:IFEコアグループ作成の国際ガイドライン(黄色い表紙の冊子)について。古いバージョンの冊子に、以前、乳児用ミルクの代用品として「牛乳に砂糖、塩、水を加え簡易的な人工乳とする方法」が載っていたように思います。新しい冊子ではその方法が削除されています。乳児用ミルクの備蓄が充分でない自治体や、備蓄品にアクセスできない状況もあり得ると考えます。牛乳での代用は、いかなる場合も勧めるべきでない、のでしょうか。教えていただければ幸いです。
回答:2007年版を確認しましたが、2017年版の「自家製の母乳代用品」の記述とそれほど大きな変更はありません。
1)生後6カ月未満の乳児の母乳代用品として適切なのは、乳児用調整乳である
2)動物の乳でつくった自家製の母乳代用品(適切に水で希釈され、砂糖、微量栄養素、植物油が加えられているもの)は勧められない。最後の手段として、もしくは一時しのぎとしてのみ使用するべきである
とのスタンスです。
つまり、勧めるべきものではないこと。しかし最後の手段として一時しのぎとしてのみ使うことまで完全に否定をしていない。ということが両方の版に書かれています。
<参考> 人工乳が入手できない時の人工乳で育っている児の養育
「人工乳で育っている児がいて人工乳がない場合、次のオプションがある。母乳で育てている母親が乳母となる(直接授乳でもまたは搾母乳をカップでも)。一旦搾乳したらその母乳は人工乳と同じよう多くの害をもたらすことがある。したがって、母親は手による搾乳をすべきであり(災害時に搾乳器を清潔にすることは困難なので、搾乳器を使う選択はない)、搾母乳は哺乳びんでなく使い捨てカップで与えられるようにする。もし新鮮な市販の牛乳が手に入れば、たとえ6ヵ月未満の児でも水と砂糖を加えることで(100mlの煮沸した牛乳に50mlの水と小さじ2杯の砂糖)、短期間の置換栄養として使える。6ヵ月未満の児に低ナトリウム血症のリスクのある水を与えないこと、そして腎障害のリスクがあるので牛乳を薄めずに与えてはならないことが大事である。」
(Gribble & Berry, 2012 JALC訳 https://www.jalc-net.jp/hisai/gribbleandberry.pdf より)
この元文献はInfant Feeding in Emergencies (IFE) Module 2, Version 1.1 (2007) https://www.ennonline.net/attachments/144/module-2-v1-1-complete-english.pdf
日本新生児成育医学会のパンフレット http://jsnhd.or.jp/pdf/qafamily.pdf
Q4 粉ミルク・液体ミルクが足りない時は?
A 湯冷ましと砂糖があれば、一時しのぎできます。コップ1杯(約200ml)の湯冷ましに砂糖大さじ1杯を溶かして飲ませ てあげましょう。重湯(おかゆの上澄み)もよいでしょう。母乳を吸わせてあげると、赤ちゃんもママも気持ちが少し落ち着くでしょう(母乳がまた出てくることもあります)。6か月過ぎの赤ちゃんなら、ごはんやバナナをつぶしてお湯で伸ばすなど離乳食で補ってもOKです(赤ちゃんせんべいをお湯で溶いても大丈夫)。