調製液状乳に係る規定の設定について、パブコメを出しました
厚生労働省医薬・生活衛生局食品基準審査課乳肉水産規準係御中
2018年5月31日
調製液状乳に係る規定の設定について
上記一部改正に関し、以下の懸念を表明し、提言をさせていただきます。
調整液状乳の定義が「乳幼児に必要な栄養素を加えたもの」としながら、ほかの乳及び乳製品と同等に扱われているため、対象者である乳幼児の健康にリスクを与える可能性を排除できないこと。
理由:
- 改正省令案(五)(13) によれば、乳幼児対象の調整液状乳もほかの乳飲料と同様に自動販売機での販売について書かれており、乳児用特別用途食品であっても自販機販売が可能であるかのような印象を受ける。
- 調整液状乳は開封後に菌が繁殖する可能性(資料1-2、1-4参照)があり、誤った使用法により乳児に重大な健康被害が懸念される。
- Codexの規定(参考2-3 Standard for infant formula and formulas for special medical purposes intended for infants, Codex Stan 72, 1981, revision: 2007)では、乳児用調整乳は乳製品の一部ではなくより保護と注意の必要な製品として位置付けられている。例えば、Codexの規定の中には牛乳がベースの調整乳以外のもの(大豆乳など)も包括したうえで、第9項でより厳密な扱いを規定している。
提言:
- 厚生労働省は母乳育児を推進し保護すべき立場であるので、WHOの「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」)にのっとり、当該製品が母乳で育てたい母親に対して販売促進されることのないように配慮すること。
- 厚生労働省の母子保健課や消費者庁とも緊密に連携すること(Codex第9項に従うこと。例えば、健康上の効能を書いてはいけない。誤用による健康被害の喚起。開封後の取扱注意。表示は母乳育児を阻害しないように国際規定に乗っ取った「重要項目」を必ず書くなど。これらの多くは「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」にも明記されている)
- 厚生労働省の子育て支援課とも連携し、母乳育児を保護するために、保育所では搾母乳を預かって飲ませることの重要性を保育所に指導すること。
- 災害時に備蓄する場合、関係省庁とも連携し、母乳育児を支援・保護し、調整液状乳が必要な母子にのみ行きわたるようにするための方策をとること。
- すべての乳幼児の健康を守るため、乳幼児用調整乳の取り扱いに関しては、ほかの乳製品に関する省令とは別により厳密な規定を策定すること。開封後に飲み残しを捨てることなど、食品の安全性にかかわる表示を必ずすること。特に自販機の規定は乳児用調整液状乳については該当させないこと。(Codex及び「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」では、「母乳育児の優位性についての明記、この製品はどのような場合に必要かということ、および適正な使用法についての助言を保健医療従事者から受けた場合のみに使用するべきであるという記載」を重要な記載義務としている。自動販売機ではこれを満たすことはできないので回避すべき)
- 乳幼児用調製液状乳に対しては「安全な取扱い及び保存に対するガイドライン」を作成し、そのガイドラインの周知に努力すること。また,ガイドライン作成においては,乳児栄養の専門家(小児科医)及び「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」に詳しい母乳育児の専門家も含めていただきたい。