母乳で育てたいと願っているお母さんのために環境を整えることの大切さ:3月の国会会議録(参議院厚生労働委員会)より
3月の国会会議録(参議院厚生労働委員会)より
母乳で育てたいと願っているお母さんのために環境を整えることの大切さについて厚労省からの答弁がされています。ここまで国会の答弁で母乳育児について語られたことはなかったのではないかと思い、まとめてみました。
(伊藤議員)母乳で育てたいというお母さんが9割を超えている現状。このお母さん方をしっかり支援をしていきたいという観点からの質問。決して赤ちゃん用のミルクがダメだとか、母乳を強制するのではなく、しっかりこの母乳育児を望むお母さん方が母乳育児をしていくことができるようにという観点である。
(1)母乳の有用性について 赤ちゃんの健康、母親の健康、医療費の削減。災害時の備蓄品も少なくて済み、ミルクを真に必要な赤ちゃんに与えることができて、より多くの赤ちゃんを救うことができる。⇒(厚労省)さまざまな利点について、いろいろな機会に周知をさせていただきたい。
(2)母乳育児成功のための10ヵ条や『授乳・離乳の支援ガイド』でも母乳育児の支援を進めるポイントが示されているが、実情はされていない。母乳育児を望むお母さんに母乳育児ができる環境をつくるのは病院によるところが大きい。現状について厚労省はどのようにとらえているのか。⇒(厚労省)『授乳・離乳支援ガイドライン』で市町村の母子保健活動に周知しているが、さらに出産施設における支援の状況把握も検討していきたい。
(3)WHOが定めて、日本も賛成している「母乳代用品のマーケティングに関する国際基準(ママ)」でも、各国政府が母乳育児を広める後ろ盾となり、家族および地域社会に適切な支援を提供し、母乳育児を妨げる要因から母親を守るような環境を作り出さねばならないことの重要性を理解するとされている。健やか親子21は第2次では母乳で育てている割合の目標値が掲載されていないようだが、方向転換をされたのか。もっとさらに環境整備を進めていくべきではないか。⇒(厚労省)引き続き母乳育児に取り組める環境の整備を進めていきたい。
(4)母乳育児の有用性とすすめかたについて、妊婦さんやお母さん、周囲の人などにも知っていただく必要があるのではないか。現状と課題は?⇒(厚労省)同じ認識。
(5)お母さんが母乳育児を希望した場合の保育所の対応について。現状では、保育所ごとに対応が異なっている。保育所保育指針の解説では、冷凍以外の母乳を禁止しているわけではない。扱いについてどう考えているのか。⇒(厚労省)保育所保育指針の解説書において、母乳による育児を希望する保護者に対しては、衛生面に配慮して冷凍母乳による栄養法などで対応すると。一方で冷凍母乳以外の母乳を保育所で与えることについては、現時点で一律に食品衛生上の安全性等の条件を確保することが困難な場合も。こうした課題を含めて、保育所において母乳育児を継続するための必要な支援についてどのようなことが可能なのか検討させていただきたい。
(6)厚労省としては冷凍母乳以外の母乳を禁止しているわけではないと。衛生上の心配というが、「小児保健研究」という雑誌で搾母乳の取り扱いについて書かれているが、冷蔵母乳でも普通の家庭用の冷蔵庫でかなり長期の保存(72時間)が可能。母乳の取り扱いに関するガイドラインを定めればいいのではないか。正確な情報がないために保育所が判断できず、だから母乳はダメだというのでは赤ちゃんのための判断ではない。保育所で冷蔵母乳を与えることができれば、冷凍母乳や粉ミルクよりも保育士の負担も減る。母乳育児を希望するお母さんが安心して赤ちゃんを預けられるように厚労省として保育所の環境づくりにも尽力すべきでは。⇒冷蔵母乳については、食品衛生上の安全性が確保されている、保存期間における栄養素等が確保されているなどの情報が必要だろうというのが基本的スタンス。現時点の知見においては見通しにくい困難な部分もあろうかと思うので、母乳育児を継続するための必要な支援について今後どのような方策が可能か検討させていただきたい。
(7)具体的に取り組んでいただきたいし、継続して聞かせていただこうと思う。母乳育児を望む母親に対して子育て支援をするという観点で何が必要なのかというところをしっかりと持っていただきながら、母乳育児を保護して推進をして行っていただきたい。母乳育児の保護、推進に向けて厚労省の決意を。⇒(厚労省・高木美千代副大臣)これまでも母乳育児の利点や支援を進めるポイントを母子手帳や授乳・離乳の支援ガイドで周知をしてきた。今後ともこうした周知啓発等を通じて、母乳育児を希望する方をより一層支援してまいりたい。安全性とか、母子同室という、ことについても、母親の体調であるとか様々な配慮も必要。そうしたことも含めて、無理せず自然に、安心して母乳育児に取り組めるように、しっかりと支援をさせていただきたい。
議事録の全文はこちら (24ページから27ページまでを参照ください)
https://kokkai.ndl.go.jp/minutes/api/v1/detailPDF/img/119614260X00320180323
※母と子の育児支援ネットワークとその構成団体は不偏不党で活動をしています。平常時災害時の乳児栄養について理解してくださるすべてのかたにこれからも情報提供をしていきたいと思っています。